するとチャンスは早々に訪れ、9周目のバックストレートでサイド・バイ・サイドに並んだクリストファーソンは、続く中速ライトハンダーのイン側を奪取しついに首位浮上に成功。
その後、ストレートラインスピードが伸び悩んだダールグレンは、2周後に接触の攻防を見せながらもウェルナーソンに、続くラップのシケインでエクブロムにも先行され4番手までドロップ。このまま14周のチェッカーとなり、クリストファーソンが正真正銘の今季2勝目をマーク。
2.4秒差の2位にウェルナーソンが入り、エクブロムはダールグレンを抜いた際の動きにペナルティを課され4位に降格。結局、ダールグレンが最後の表彰台スポットを確保した。
そして現地同日午後15時20分に迎えた2018年最終ヒートのレース2。リバースポールからスタートのトビアス・ブリンク(アウディRS3 LMS)が首位をキープして始まった1戦だが、それぞれ後方からの戦いを強いられた王者争いの2台に、意外な結末が訪れる。
オープニングラップで3番手となっていたクリストファーソンを追走していたダールグレンのセアト・クプラTCRは、5周目に入ったところで突如スローダウン。そのままピットレーンに向かい、レースを終えることとなったのだ。
これで王座当確となったクリストファーソンだが、手綱を緩めずに2番手争いに参戦するも、執拗なディフェンスに合いコースオフを喫する危うい場面にも遭遇。その後は無理をせず5番手でチェッカーを迎え、ダールグレンに対し13ポイント差を確保。これで審議によりPWRの第4戦結果がふたたび覆ったとしてもポイントは加算されるのみとなり、見事2012年以来となる自身2度目のSTCCシリーズチャンピオンを獲得した。
「今日は本当に僕らが望むような1日になった」と、喜びを語ったクリストファーソン。
「僕はロバート(ダールグレン)の後ろを走っていて、オーバーテイクの機会を狙っていた。前に出てからは、僕がポジションを維持できればチャンピオン。そうでなければ彼がチャンピオンだと理解していた」
「この最終戦はシーズンのゴタゴタとは対照的に、コース上でクリーンな決着をつけることができた。今季はペース的に優位な立場にはなかったけれど、僕らは利用できるチャンスをすべて掴んだんだ。机上の審査や法廷でのタイトル決定にならなくて本当に良かったよ」
一方、コース上での勝負以外の要素に翻弄された1年となったダールグレンも「クリストファーソンはレース1で素晴らしい仕事をした」と、勝者を称えた。
「僕らはそれ(タイトル)をほとんど手の上に置いていたのに、掴み損ねた感じだね。レース1ではスピードがなく、レース2に向け大きくセットを変更した。その結果、勝てるだけのマシンに仕上がっていたんだけど、突然ギヤボックスが根を上げた」
「ギヤ同士がうまくかみ合わず2速と3速のレシオギヤが破損していたようで、いきなり駆動がなくなった。この(TCR規定導入後の)2年間で初めてのトラブルだし、こういうタイミングで起こるべくして起こったんだろう」
「でも、PWRにとっては結果的にチームの実力を証明するシーズンになったと思う。チームズチャンピオンシップとジュニアチャンピオンシップ(ルーキー・オブ・ザ・イヤー)を獲得したんだからね。僕も王座を守りたかったけれど、最後の最後で適切な勝負ができなかった、ということだ」