S-GT2025 rd3 MALAYSIA QF
LMcorsa REPORT
#60 Syntium LMcorsa LC500 GT
12年ぶりのセパンでの開催で活躍を期していたが
タイヤ選択が合わず、予選Q1で9位となり決勝レースは16番手からスタート
コロナ禍で中断していたスーパーGTの海外ラウンドが6年ぶりに復活し、『SUPER GT MALAYSIA FESTIVAL 2025』としてマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで開催されている。最後の海外ラウンドとなった2019年はタイでの実施だったため、マレーシアでスーパーGTのレースが開催されるのは2013年以来の12年ぶりとなる。
舞台となるセパン・インターナショナル・サーキットは、マレーシアの首都クアラルンプールから40kmほど南下したところにあり、1周の長さは5.543kmでコーナー数は15。低速のヘアピンから中高速コーナーを織り交ぜたレイアウトで、複合でテクニカルなコーナーも多い。過去の海外ラウンドは、天候の急変で荒れたレースとなることもあり、チーム力や戦略が勝敗のカギとなることもあった。
今回のマレーシアラウンドは久しぶりの開催ということで、レースウイークのフォーマットが異なる。6月26日(木)には1回目の公式練習、27日(金)には2回目の公式練習と予選、28日(土)には決勝レースという3日間の開催となった。スーパーGTの国内戦では環境負荷の低減などのために2日間のフォーマットとなっているが、セパン・インターナショナル・サーキットを走行するのが初めてのドライバーもいるため複数の公式練習が設けられた。また、予選と決勝レースの時間も16時30分からと夕刻からの始まりで、マレーシアの気温や気候を考慮した設定となっている。
走り初めとなった1回目の公式練習は、26日の16時30分からスタート。夕方にもかかわらず気温は33℃、路面温度は43℃というドライバーにもマシンにも過酷なコンディションだった。まずは吉本大樹選手がSyntium LMcorsa LC500 GTに乗り込み、各部をチェック。6周を走るとピットに戻り、河野駿佑選手がステアリングを握ってコースに入った。
約5周ごとにピットに戻りタイヤの状況などを確認し、周回を重ねていく。同サーキットの走行経験はあるものの河野選手はスーパーGTでは初となる。走行マイレージを稼ぐためにその後のサーキットサファリも担当した。1回目の公式練習は、吉本選手が4周目のマークした2分6秒024がベストタイムで、GT300クラスの19台中16番手。トップとのタイム差があり、厳しい走り出しとなった。
2回目の公式練習は一夜明けた27日(金)の10時30分から11時45分までの1時間45分で実施された。Syntium LMcorsa LC500 GTには河野選手が乗り込み、5周を走行。ピットの戻ると吉本選手にスイッチし、2-3周ごとにピットインする走行プランで周回していく。
最後は河野選手がふたたびステアリング握ると、コースコンディションが改善していったため2分5秒653のベストタイムをマーク。さらに、2回目の公式練習後に行なわれたサーキットサファリでは2分4秒台までベストタイムを伸ばした。結果的に2回目の公式練習は17番手となったものの、路面状況が改善していけば予選で厳しい状況を打開できる可能性が見えてきた。
<気象データ>
気温:33℃、路面温度:40℃(予選Q1時)
<予選>
コースプログラムはスーパーGTの走行後に併催カテゴリーの決勝レースが行なわれ、予選は前日の公式練習と同じ16時30分に開始された、
今回のGT300クラスには19台がエントリーしていて、予選Q1は2組にわけられ、それぞれの上位6台が予選Q1を突破。予選Q2は、12台によってポールポジションが競われることとなっていた。LMcorsaはA組に振り分けられていて、河野選手に予選Q1のアタックを託した。
コースオープンとともにウォームアップを始めると2周にわたってタイヤやブレーキに熱を入れる。公式練習の1回目からタイヤは硬めのコンパウンドを選択してきたが、予選ではピークグリップが上がることを期待し柔らかいコンパウンドを投入した。河野選手は3周目にアタックを開始すると、全セクターでミスなく走り2分4秒726をマーク。翌周もアタックを続けるとセクター1、2ではベストタイムを更新するが、セクター3ではタイヤのピークが過ぎてしまったためタイムを伸ばせなかった。結果的にA組の9番手となり、予選Q2への進出を逃した。
Syntium LMcorsa LC500 GTは中高速コーナーを得意としていて、セパン・インターナショナル・サーキットはレイアウトと合っているはずだったが、タイヤのグリップ性能を引き出せず思わぬ苦戦を強いられることとなった。明日の決勝レースは、粘り強く少しでも上位のポジションでチェッカーを受けることが目標となる。
<飯田章監督>
「第2戦の富士スピードスピードウェイ後に行なわれたテストでは好調だったため、セパン戦には期待していました。また、チームのスポンサーであるペトロナスのお膝元なので、ぜひ活躍したいという気持ちで臨みました。しかし、1回目の公式練習からライバル勢に後れを取り、走行を重ねていっても改善しませんでした。2回目の公式練習の終盤と、その後のサーキットサファリでは好転したかと思ったのですが、予選ではそれまでの状況に戻ってしまいました。明日の決勝レースはファンのためにも粘り強く走って、ひとつでも上のポジションを目指します」
<吉本大樹選手>
「ダンロップと一緒に事前テストを含めて決めたタイヤだったのですが、コースコンディションと合わず、最近では稀に見る苦戦となりました。セパンのコースレイアウトはLC500GTと合っているはずで、走り出す前は勝てる可能性があると感じていました。走り出しの公式練習1回目はコースが荒れていてグリップ感がなかったのですが、それにしてもタイムが伸びませんでした。2回目の公式練習では路面状況が改善していき、予選に向けて可能性を感じました。しかし予選ではサポートレースの影響か、路面コンディションが悪化し、異なるタイヤを入れたのですがパフォーマンスが出ませんでした」
<河野駿佑選手>
「セパンの走行は10年ぶりだったのですが、1回目の公式練習から走行マイレージを稼げて問題なく走れました。ただ、タイムはライバル勢から遅れを取っていて、セットアップを調整する状況ではありませんでした。2回目の公式練習では路面コンディションが改善していき、最後のサーキットサファリではそれまでのベストタイムを大幅に更新できました。予選ではQ1を担当させてもらい、温存していたソフト側のタイヤを装着して、タイムアップを図りました。ただ、グリップ感は直前の走行ほどなく、1周をまとめ切れたのですが9番手でした。明日はしぶとく走って少しでも上位を目指したいです」